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四国部品が林業に挑戦中!!

日本は、はるか昔から森林と共生してきました。
森林の木々は、土砂災害防止や地域環境保全機能、生物多様性保全機能など、多くの役割を果たします。そんな大切な森林の未来を守ってくれている方々が高齢化し、担い手が減少していることをニュースでよく耳にします。
今回は、林業従事者の担い手不足を解消するため、四国部品 梼原製造所が取り組んでいる林業について紹介します。

■四国部品の2人が梼原町で林業を開始!

「梼原」と聞いて思い浮かぶのは、2006年から行われている「梼原令和の森林づくり」ではないでしょうか。梼原町と矢崎は、梼原令和の森林づくりのほかに、木質ペレット製造(ゆすはらペレット)、国内サマーキャンプなどでもつながりがあります。そうしたつながりから、矢崎グループとして「森づくりにどのように関わっていくか。」と検討を重ねた結果、これまで行ってきたボランティアとは違った、もっと責任あるかたちで森づくりに取り組みたいと考えました。そして、矢崎と梼原町のつながりや信頼関係を生かした「新たな事業開発」として、矢崎の林業参入が発案されました。

梼原町の総面積23,651haのうち、91%を森林が占めています。
その森を守っていくためには、人手不足・若者の減少や鳥獣被害など、いくつもの困りごとがありました。このような困りことを解決するため、2022年ワイヤーハーネス(以下、W/H)製造を行っている高知工場および製造所内で、「山の仕事に興味があるか」というアンケートをとり、「ぜひやりたい!」と立候補したのが、河添 昭人さん / 岡 良雄さんでした。2人は、2022年9月の短期トライアル、2023年4月の中期トライアルを経て、本格的に林業を担当することになりました。

河添昭人さん
岡 良雄さん

■林業のお仕事

森林サイクルの「植える」→「育てる」→「切る」→「使う」の4つの工程の中で、「植える」「育てる」の一部を四国部品が担当しています。

人工林は、木材を効率よく生産するために一定の面積に多くの苗木を植え、数年ごとに間伐を行い、適正本数を保つ必要があります。また、雨で根こそぎ流れてしまう可能性があり、表土がやせて水を蓄える力も失われてしまうと、私たちの生活にも影響を及ぼすため、人工林の手入れが必要です。

植林は、「地拵え(じごしらえ)」と呼ばれる苗木植え付けのために、伐採跡地の残材や枝などを整理するところから始まります。
地拵えが終わると、景観林や水源林として活用する広葉樹や、生産林とするスギやヒノキなどの苗木を1日300本ほど植え付けます。

そのあとも、植えた苗木をシカなどの動物に食べられないようにするため、保護ネットで覆ったり、日光が当たるように、周りの雑草などを刈り払います。

地拵え前の様子
植えた苗木を動物から守るため保護ネットで覆う

これまでは、W/H製造を担当していた2人が、林業を担うのには大変なことがたくさんありました。
昨年夏の猛暑日には、日陰のない場所での作業中、熱中症に罹ったそうです。
また、何度も蜂に刺されたり、命に別状はなかったものの、毒へび(ヤマカガシ)に噛まれたこともあったとか・・・。
森の中では、タヌキやウサギをよく見かけ、せっかく植えた苗木を食べないで欲しいと思う反面、自然の中で生きていくために、彼らも必死なのだと考えさせられることもあるそうです。
春から初夏は女王蜂が徘徊し、夏はセミの鳴き声で余計に暑さを感じ、秋は車内がカメムシだらけ、気温が下がり虫たちの活動が弱まるともう冬。このように虫たちから四季を感じるそうです。
 
まず2人の1日は、午前3時に起床して、当日の天候によって作業を実施するかを決めるところからスタートします。今の季節は、朝方5時には作業場に向かい15時まで山の中で作業を行います。
 
このように大変な環境下で働く2人に、お話を伺いました。

河添さん:「ワイヤーハーネスの製造とは違い、決められた仕事を同じペースでやるわけではないため、すべてが大変です。しかし、自分で考えて仕事ができる楽しさがあります。
計画通りにいかないと腹が立つこともありますが、それをどのように挽回するかを考えながら仕事をして、早く終えることができたときにはとてもやりがいを感じます。」
 
岡さん:「体力勝負なところが大変です。林業を担当してから約1年が経ちますが、体重が10kg落ちるほどの運動量があります。しかし、作業の調整は自分たちでやり、頑張れば頑張るほど早く終わって次の現場に行くことができるのでやりがいがあります。ストレスがなく、毎日違う場所に苗木を植えるので飽きません。振り返ればすぐに成果が見える点もやりがいの一つです。」

急斜面(右側)で作業をする様子
植え付け作業

2人が山に行く時に乗っているのが、自動車事業管理室 新規事業企画部と飛鳥特装が共同で制作した林業カー「ヤザキフォレストリービークル」です。
ヤザキフォレストリービークルは、過酷な労働環境や林業従事者の困りごとである「収納が少ない」 「荷物がガタつく」 「オイルのにおいが車内に充満する」などの意見が反映されたカスタムカーです。
車内空間は、作業者がストレスなく山での作業ができるように設計されています。さらに”カッコいい林業”をPRでき、多くの方が林業へ興味を持っていただけるよう考えられました。

ヤザキフォレストリービークル
収納が取り付けられた車内

■梼原町の森を守るための一歩

人が所属する四国部品は、高知県内の高岡郡 梼原町 / 高岡郡 越知町 / 安芸郡 田野町に拠点がありW/H・介護・食品などの事業を行っています。
「軒先を借りて事業をするのだから、地域の困りごとを解決したい。」という名誉会長の教えが事業を考えるうえでの基本となっています。
梼原町とは森を中心に強い繋がりがあったため、四国部品として何か力になれないかと検討し、素人ながら林業への一歩を踏み出しました。
河添さん、岡さんなどの活動で地域が元気になり、森の大切さや若い世代の方に山の仕事の魅力を知っていただきたいと四国部品で林業を担当している氏原さんは話されました。

最後に2人からメッセージをいただきました。

河添さん:「とにかくあきらめずにやりきる事です。木を植えてから一つの現場が完結するまであきらめないという事を大切にしています。」(3haを超える作業場は、半年以上の時間を要す。)

岡さん:「自然が好きという気持ちです。昔と比べて今の山には元気がありません。昔のような自然を取り戻したいという思いです。モットーは、『森づくりで自分たちが住んでいる星を大切にしたい、地球を守る!』です。」

【編集後記】
週末を返上して作業することもあるという2人。斜面での作業中、4mもの滑落をしたこともあるそうです。そんな危険と隣り合わせにある作業場でも2人の笑顔はとても輝いていました。
林業従事者たちが、私たちの未来や暮らしを守っていることに感謝したいと思います。
植林した苗木が、10年、20年と成長を重ね大きくなって、これからもずっと梼原町の森が守られますように。

梼原町の未来の森を守る一本の苗木